あなたは、仕事を安売りしたことありますか?
「うちは安くできます」
この言葉って、たしかに強いですね。
お客さんにとって、安いというのは魅力です。
誰だって、できれば高いより安い方がいいですよね。
スーパーで同じ卵が並んでいたら、十円安い方に手が伸びます。
ガソリンも一円でも安い店に入りたくなる。
奥さんに内緒で買った趣味の道具も、できれば「セールだった」と言いたい。
人間というのは、安さに弱い生き物ですね。
だから外壁塗装でも「安くできます」と言いたくなる気持ちはよくわかります。
相見積もりになった。
他社より高いと言われた。
お客さんが迷っている。
ここで何とか決めたい。
そんなとき、つい出てしまう。
「では、少しお値引きします」
この一言。
言った瞬間、お客さんの顔が少し明るくなる。
こちらも少し安心する。
ただし、その裏で利益は静かに削れています。
まるで、誰にも気づかれないように冷蔵庫のプリンを少しずつ食べられているようなもの。
最初は気づかない。
でも、ある日ふたを開けると「あれ、ほとんど残ってない」となる。
価格の安さだけで勝負する怖さは、ここにあるんです。
一件一件は小さな値引きに見える。
でも、それが続くと会社の体力を奪っていく。
材料費は下がらない。
人件費も下がらない。
ガソリン代も下がらない。
足場代も、塗料代も、工具代も、きちんとかかる。
それなのに、売値だけを下げていく。
これは、なかなか苦しいです。
安く請けた現場ほど、なぜか手間がかかることもありますね。
「ついでにここもお願い」
「ここも少しだけ塗れますか」
「サービスでできますよね」
安くしたはずなのに、追加のお願いはしっかり来る。
人間というのは不思議なもので、安く買ったものほど、なぜかもっと得をしたくなるんです。
百貨店で買った高級バッグには丁寧に接するのに、百円ショップで買ったケースには無理やり詰め込む。
あの感じに少し似ています。
塗装工事も、安さだけで選ばれると、どうしても「価格」が基準になります。
「もっと安くならないか」
「他社はこの金額だった」
「予算がないから何とかしてほしい」
こういう話になりやすい。
もちろん、お客さんが悪いわけではないです。
安さを前面に出せば、お客さんは安さで判断する。
それは自然なことです。
ラーメン屋が「激安ラーメン」と大きく書けば、味より価格を見て来る人が増える。
高級感を求める人ではなく「とにかく安く食べたい人」が集まる。
塗装業者も同じですね。
「安いですよ」と言い続ければ、安さを求めるお客さんが集まる。
そして、安さを求めるお客さんに選ばれ続けると、どんどん利益が残りにくくなる。
利益が残らないと、何が起きるか。
良い職人に払えない。
良い材料を使いにくい。
広告やホームページに投資できない。
保証やアフター対応も苦しくなる。
社長の心も少し荒れる。
最後の「社長の心が荒れる」は、意外と大事でなんです。
利益が残らない仕事が続くと、人はだんだん優しくなくなる。
見積もりの電話が来ても、少し身構える。
追加の相談が来ると、ため息が出る。
現場で想定外が起きると、心の中で小さく叫ぶ。
「この金額でそこまで言うか」
これはつらいですよね。
本当は丁寧に仕事をしたい。
お客さんにも喜んでもらいたい。
職人にもきちんと払いたい。
会社も続けていきたい。
それなのに、安さだけで勝負していると、だんだん自分の首を絞めることになる。
価格を下げるのは簡単です。
でも、一度下げた価格を上げるのは難しいです。
お客さんは、安い金額を覚えている。
元請けも、安く請けた金額を覚えている。
紹介された人も「あそこは安いらしい」と聞いて来る。
こうなると、いつの間にか自分の会社の看板が変わってしまう。
「丁寧な塗装業者」ではなく「安くやってくれる塗装業者」になる。
これは、少し寂しいですよね。
腕があるのに、安さでしか見られない。
実績があるのに、価格でしか比べられない。
人柄が良いのに、値引きの話ばかりされる。
まるで、料理の腕を褒められたいのに「この店、量のわりに安いよね」とだけ言われるようなもの。
もちろん、価格は大事。
高すぎれば選ばれにくい。
相場から大きく外れていれば不安に思われる。
しかし、安さだけを武器にしてはいけないんです。
大事なのは、なぜその価格なのかを伝えること。
下地処理を丁寧にするから。
塗料の選び方に理由があるから。
養生や近隣対応まできちんと行うから。
保証やアフター対応まで考えているから。
自社施工で責任を持って管理するから。
こうした価値を伝えなければ、お客さんには価格の違いがわからないんです。
お客さんは、塗装のプロではないです。
見積書を見ても「シリコン?フッ素?無機?何が違うの?」となりますよね。
こちらが説明しなければ、金額だけで比較されるのは当然です。
だからこそ、安さで勝負する前に、価値を言葉にする必要があります。
施工事例を見せる。
工事の流れを説明する。
使う塗料の理由を伝える。
保証内容をわかりやすくする。
お客さんの声を載せる。
代表や職人の顔を出す。
こうした安心材料があると、お客さんは価格だけで判断しにくくなるんです。
「少し高いけど、ここなら安心できそう」
この状態を作ることが大事なんです。
商売で本当に強いのは、安い会社ではない。
理由が伝わっている会社です。
安いから選ばれるのではなく、納得して選ばれる。
値引きで決まるのではなく、信頼で決まる。
価格ではなく、価値で比べてもらう。
ここを目指さなければ、自社案件はなかなか楽になりません。
価格の安さだけで勝負するのは、たしかに手っ取り早い。
でも、それは毎回、自分の利益を削って勝負するということでもあるんです。
それでは続かない。
自分で食べていく塗装業者になるなら、安さだけに頼ってはいけない。
自社の強みを伝える。
丁寧な仕事を見える化する。
お客さんが安心できる情報を出す。
価格の理由を説明する。
そして、ちゃんと利益が残る仕事を選ぶ。
安売りは、一瞬お客さんに喜ばれるかもしれない。
でも、会社が続かなければ意味がないですよね。
お客さんを守るためにも、職人を守るためにも、家族を守るためにも、利益は必要。
価格の安さだけで勝負する。
それは、笑顔で自分の財布に穴を開けるようなもの。
どうせ勝負するなら、安さではなく「この会社なら任せたい」そう思われる理由で勝負しましょう。
やってみて!

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